北海道の味。
稚内出身の会社の後輩Tと北海道にツーリング旅行に行った時の話。
二人で昼食をとるためにラーメン屋に入った。
街道沿いでよく見る感じの古びた感じの店構え。
出てきたラーメンはまさに見た目も味も「普通のラーメン」。
しかしTはそのラーメンを一口すするなり「これだ!」と独り言ちた。
Tは「これが北海道のラーメンです。」と言った。
改めてよく味わって食べてみるが特徴らしい特徴もない普通のラーメンである。
日本全国どこにでもありそうなラーメン。
その感想をTに伝えると「この感じは北海道にしかない」と彼は言い切った。
「この特徴がない感じは北海道以外ではありそうで絶対にない。」
「しかし、これが北海道ではスタンダードな味。」
ちょっと言っている意味が分からなかった。
ラーメンを食べ終わって店を出る。
バイクに乗る前に店の裏に一斗缶が積み上げられているのが目についた。
近づいて見てみると
S&Bラーメンスープの素(しょうゆ)
S&Bラーメンスープの素(みそ)
S&Bラーメンスープの素(しお)
とそれぞれ書いてある。
僕はTを呼び寄せてその一斗缶の山を見せた。
その一斗缶のラベルを見てみると製造場所は兵庫県内の工場となっていた。
僕はその事実を言葉にしてTに伝えた。
「北海道にしか無いラーメンのスープの素は兵庫県の工場で作ってるみたいだよ。」と。